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     資本論ワールド       2019. 05



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  マルクス生誕200周年(1818-1883)

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 レーニンの『哲学ノート』 と 「価値方程式」



 
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  2019.04.30

 
第1回 『資本論』の科学史ハンドブック2019-1 


 
「歴史的に、論理的に」 アシモス科学史と『資本論』の “Element”


 資本論ワールド編集部 はじめに

 
『資本論』の科学史ハンドブック2019の開設にあたり、編集の概略をご案内します。
 マルクスは1859年に『経済学批判』「第1冊資本について」を刊行しましたが、「第1章商品」で中断しています。その後、『資本論』の初版第1巻(第1部)が、1867年に刊行され、第2版は1873年に出版されました。マルクスの死後に、『資本論』第2巻が1885年に、第3巻が1894年エンゲルスによって編集・刊行にされました。
 『経済学批判』から『資本論』第3巻までの19世紀後半は、西洋に始まった資本主義社会がヨーロッパからアメリカ大陸や世界の各地へと展開された時代です。グローバリゼーションの始まりですが、ちょうど近代西洋科学の成立と歩調をあわせて資本制生産が全地球規模で開始されます。ユーラシア大陸の東端に位置する日本列島にも「資本の時代」が押し寄せ、明治の“文明開化”が開始されてゆきます。
 こうして日本列島の住民-私たちの直接の先祖-は、はじめて日本人としての意識形成やアイデンティティが醸成される環境に置かれてゆくことになりました。1903(明治36)年4月小学校令の改正により、翌19年4月から教科書の国定制度がスタート、明治政府による全国共通の教科書が使用されてゆきます。
 西洋では、フランス革命と産業革命を経て「科学の進歩」による資本制生産の発展を目指す時代を迎えています。各種学校制度と研究機関の充実が、国力と直結する時代の幕開けともなり、科学教育の充実が各国政府の至上命題ともなりました。(日本では、江戸時代の寺小屋形式による識字教育が普及し、西洋に比べても格段に高かったと評価されています。)

 このような時代背景を横目で眺めながら、西洋の科学史を通覧することは、19世紀西洋文化から誕生した『資本論』の歴史性を実感してゆくうえで、欠かすことができません。近代の科学革命は、フランスのラヴォアジェ(1743-1794年)によって開始され、イギリスのドルトン(1766-1844年)による「原子論」が展開されることによって、物理化学の新しい世界が切り開かれました。一連の「
元素革命-ラヴォアジェからメンデレーエフ」は、元素・原子の規則性、法則性に関するメンデレーエフ(1834-1907年)の周期律・表によって現在に至っています。自然の“比例性”に新たな1ページを画することになりました。
 またドイツでは、カント(1724-1804年)の“星雲説”からゲーテ(1749-1832年)“形態学”を経て、ヘーゲル(1770-1831年)によるドイツ古典哲学が形成され、西洋の自然科学的思考に弁証法概念が深化してゆきます。
 こうした西洋科学史を背景に、「巨人の肩の上に立って」マルクスは、『資本論』を叙述してゆきます。エンゲルスが指摘しているように、「マルクスは、ヘーゲルの論理学の皮をむいて、この領域におけるヘーゲルの真の諸発見を包有している核をとりだし、かつ弁証法的方法からその観念論的外被をはぎとって、それを思想の展開の唯一のただしい形態となる簡明な姿につくりあげる、という仕事をひきうけえた唯一の人であったし、また唯一の人である。マルクスの経済学批判の基礎によこたわる方法の完成を、われわれはその意義においてほとんど唯物論的根本見解におとらない成果であると考える。」
『経済学批判』について 参照 )


 さて、「科学史ハンドブック2019」の始まりは、
『資本論』の “Element(Elementarform)” です。
 “Element” の日本語訳は、「原理、初め、初歩、要素、成分、分子、基本、第一原理、元素」などさまざまで、まさに西洋文化の伝統が凝縮されています。ちなみに『資本論』第1章冒頭の「個々の商品はこの富の
成素形態として現われる。」(Der Reichtum der Gesellschaften, in welchen kapitalistische Produktionsweise herrscht, erscheint als eine "ungeheure Warensammlung", die einzelne Ware als seine Elementarform.) ―「Elementarform 」を翻訳した日本語をみますと以下のようです。

 岩波書店訳(向坂訳)の成素形態-Elementarform-をはじめ、基本形態、原基形態、要素形態となっています。「Element」が成素、基本、原基、要素と訳され、用語の不統一も甚だしく、これでは科学書としての「共通言語」が形成されていない状況が伺えます。50年ほど前までは、「世界に冠する日本のマルクス経済学」などともてはやされていましたが、今日では何とも底の浅い途上学問であったようです。―ちなみに18世紀末、ラヴォアジェの化学革命は「化学命名法」から始まり、ラヴォアジェ著『化学のはじめ』のフランス語は「
TRAITE ÉLÉMENTAIRE DE CHIMIE, :化学の基礎原理を扱う概論」となっています。― 難解であり、解読不能とまで言われる『資本論』の不人気は、出版社や翻訳者による不明瞭な用語法-翻訳書どうしの共通地盤の欠如-も拍車をかけているようです。


 今回ご紹介する「科学史ハンドブック2019」第1回に登場する
アイザック・アシモス(1920-1992年)は、「現代科学の複雑な思想を、科学者ではない人にもわかる言葉で説明する、すばらしい才能によってよく知られた」科学者です。『化学の歴史』と『生物学の歴史』の2冊のうち、『資本論』の時代背景に直接結びつく事柄を選んで、「歴史的に、論理的に」西洋科学の歩みを学んでゆきます。『化学の歴史』では、「元素Elememt」概念の形成・発展史を早足で探索します。つぎに『生物学の歴史』から、「化学的な見方」と生物学の相互進化が果たした人類史への貢献を散策してゆきます。二つの科学史の相互交流によって、相補いながら、近代科学の成長を具体的に展望することができます。これらの基礎知識を土台にしながら、改めて『資本論』第1章から第3章を振り返った時、「歴史的に、論理的に」発展の思想で展開された『資本論』の文脈と文体に接し、西洋の最先端科学を駆使しているマルクスの雄姿を垣間見ることができます。
 なお、アシモスが引用している主要な科学者-アリストテレス、ロバート・ボイル、ラヴォアジェ、ドルトンそしてメンデレーエフ-について、当該書物の原本等が参照できるように工夫し、さらに探求を深められるよう便宜を図りましたので活用してください。 では、素晴らしい航海をお楽しみに!!


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 2019 資本論入門3月号-2  2019.03.23


  カール・マルクス 『経済学の方法』 の研究



  
-『資本論』の科学史ハンドブック2019-1 序論2 Elementの多様性



 マルクスは「経済学の方法」の叙述にあたって、読者に慎重な取り扱いを述べています。
「りんかくを示した一般的序説〔「経済学の方法」はこの一般的序説に含まれています〕は、発表をひかえておく。というのは、よく考えてと、まず証明しなければならないのに、そのまえに結果を示したりすれば、それはかえってじゃまになるように私には思われるからであり、また読者がそもそも私のあとからついてこようとするなら、個々のものから一般的なものへともぼっていく決心をしてもらわねばならないのであるからである。」(『経済学批判』序文)

 資本論ワールドの読者は、すでに『資本論』とヘーゲルの関係性についても考慮されていますので、「経済学の方法」を探索することにより、マルクスの思考形式-弁証法的思考-を参照することが可能となります。
 「経済学の方法」は当時公刊されなかったのですが、マルクスの叙述スタイルを予めざっと見通すことができれば、『資本論』の感触を柔らかなものして、親しみが感じ取れる論文となっています。
 この小論の特徴は、歴史的な例証とともに『資本論』冒頭の「
成素形態Elementarform」を読解してゆく手がかりとなっています。この文脈に登場する「成素」、「最も単純な諸規定」そして「単純な範疇」の用語-Elementが出現する文脈の構造/Elementarform分析-に注目しながら、探索を始めてゆきます。


 


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コラム24> コスモスと比例の源流
―宇宙と自然の「調和と秩序」 2019.03.14


 ピュタゴラスの原理 ・・・秩序の原理として数は世界に現われる


 初期ギリシア思想における二つの主要な伝統は、古代後期には、イオニア派とイタリア派の名で呼ばれた。後者はピュタゴラスに始まる。彼は、出生で言えば東方ギリシャ人であるが、若いころ故郷のサモス島を離れ、およそ前530年ころ南イタリアに移住して、その地のクロトン市に定住し、自らの団体を設立した。・・・彼の数学的な哲学の基礎となったと言われる発見は、音楽の分野における発見である。彼は、完全和音-この言葉は今日も用いられていると思うが・・・



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 <コラム23> アリストテレスの形相と可能態(デュナミス)

      ー 『資本論』の弁証法の源流を訪ねてー


   ガスリー 『ギリシャの哲学者たち』



  『資本論』に引き継がれた古代ギリシャ世界

1.
 古代のギリシャ世界では、アリストテレス(前384年― 前322年)よって科学的概念が集大成され、現代に至るまで大きな影響を及ぼしています。・・・


2. 『資本論』-西洋哲学史と「形相と質料」の研究との関連ついて
 このガスリー『ギリシャの哲学者たち』は、1950年に発表されています。シュヴェーグラー著『西洋哲学史』は1848年ですから、100年が経過しています。-この間に『資本論』の第2版が1873年、エンゲルスによる第4版が1890年に刊行されています-。 マルクスは価値概念の分析にあたり、アリストテレスの比例論(価値方程式)と同等性(Gleichheit:等一性と訳されている)について、『資本論』で引用・解説を行っています(岩波文庫p.109)。アリストテレスの時代に、「価値存在」への高度な考察がすでに始まっていることを証明しています。・・・

 ・・・それでは、マルクスゆかりの地:ガスリーの古代ギリシャ世界へご案内しましょう。



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    2019 資本論入門3月号  2019.03.10


  『資本論』-西洋哲学史と「形相と質料」の研究 -1-


   シュヴェーグラーと今道友信の『西洋哲学史』より
 

    -『資本論』の科学史ハンドブック2019-1
 序論.1-


 資本論ワールド編集部 はじめに

 *『資本論』に登場する“ 商品種 Warenart ”の翻訳に対して、岩波向坂訳以外は、“-art (Art:生物の種)”に対して大月岡崎訳をはじめとして「種類-商品種類」と翻訳しています。この翻訳語の違いは、『資本論』と“どのように向き合う”という姿勢の違いが顕著に現われています。ここにも、西洋文化に対する「認識の差異」あるいは「無意識的欠如の発露」とでも言える現象が、翻訳家個人個人の深層心理に根差しています。古代ギリシャは、考えられているよりも、ずっと存在の彼方だったのです。・・・・



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 ◆ 2019 資本論入門2月号 「価値の実体と形式」について


  2019 資本論ワールド  2019.01.30


 
 資本論ワールドは4年目に入りました。これまでお付き合いをいただきました。

  
探検隊の皆さんをはじめ、ご協力をいただきました方々に感謝申し上げます



 昨年11月以来、しばらくお休みを頂いていましたが、2月から再開できる態勢が整ってきました

 
第4期資本論ワールド編集方針についてご報告いたします


  1. 
従来の基調を継続する

  2. 
下記2018年総合案内の残されたテーマを続行する

  3. 
昨年末に行われた「編集会議」を踏まえ、改善と内容の充実を図る

   ① 
岩波書店向坂訳『資本論』の刊行(1967年)に続き、6出版社の『資本論』が

      市場に流通している。現状の根底にある
“日本文化の異質性(注1)”への対応策を検討する

   ② 各社・翻訳者の
“独自性(注2)”による作品群となり、読者間への共通ルールは存在しない。

   ③ 向坂訳を含め、共通している“スタイル”は、『資本論』原本と「翻訳本」日本語との整合性は

     皆無と言える。すなわち翻訳者各人の人格に一任されている。

   ④ 各社・翻訳者に共通する欠陥は、ヘーゲルを無視(不勉強による?)することによる

      誤読・誤訳から『資本論』の理解と用語解読が消化不良となっていること。

   ⑤ これらの現状の改善ー最低限の「翻訳共通ルール」の構築は急務である。

      すなわち、現状の翻訳『資本論』は、翻訳の言語ルールがなく、「科学書」としては認知されない。

     特に、ドイツをはじめ、伝統的な西洋文化と科学言語に対する共通理解の構築が必須である。

  4. 過去3年間の掲出テーマを集計整理し、上記課題に資する作業を行う。


 
   
以上の目標に向かって、来月から始めてゆきます。ご協力をお願い申し上げます


   (注1)“日本文化の異質性”
  日本のマルクス経済学は、特異な構造を歴史的に形成しています。『資本論』をテキストにしながらも、翻訳者ごとまちまちの日本語表示で、今日に至っているのです。西洋科学史に見るように、ラヴォアジェの「化学革命」以来、19世紀の西洋科学は、「科学言語」の創造と革新の時代です。私たちは、「『資本論』の科学史ハンドブック」を通じて、西洋科学の成立ちを改めて確認してゆきます。

   (注2)翻訳者の“独自性”
 
*『資本論』の翻訳問題は、深刻です。1969年、岩波・向坂訳以来50年が経過しましたが、翻訳者ごとに、特異な出版物が横行し続けています。新訳と称しても、その用語解説が行われず、読者は翻訳者と出版社の支配下に置かれたまま、半世紀が経過しました。私たちの「資本論ワールド」は、この悪弊の抜本的改革を目標としています。


  

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11月号-1  ・価値分析に対する“蒸留法”批判について

 → 「交換価値は、使用価値の社会的な性質規定性として、

   『経済学批判』交換価値の抄録
11月号-2 もし商品体の使用価値を無視するとすれば
  
『経済学批判』の使用価値 
11月号-3   コリン・レンフルーと「商品の物神性」 
 


    2018年 今年も1年間大変お世話になりました。


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