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属性-性質-性格_集計

 

   文献資料 翻訳問題のヘーゲルと『資本論』

   属性と性質 2020.07.04 ・・・メモ帳

  
目 次
 1. 広辞苑
 2. ドイツ語
 3. 属性-事典 ブリタニカ、大辞泉、大辞林
 4. ヘーゲル「小論理学」 物と性質
     物の諸性質 Eigenschaften des Dings,
 5. 『資本論』 Eigenschaft の翻訳問題 とヘーゲル
     有用なる属性 nützlichen Eigenschaften
  価値形態の変化した性格 Veränderter Charakter der Wertform
 
一般的・普遍的価値形態は、この世界の内部で労働の一般的・普遍的に人間的な性格 allgemein menschliche Charakter が、その特殊的社会的な性格 spezifisch gesellschaftlichen Charakter を形成しているのを啓示する offenbart のである。」

  → ヘーゲル「小論理学」第3部 概念論§163普遍・特殊・個を参照

 
1.  広辞苑
  【属性】 (attribute)
  ・事物の有する特徴・性質。
  ・〔哲〕一般には
実体に依存して存在する性質・分量・関係など。狭義には偶然的な性質と区別し、物がそれなしには考えられないような本質的な性質。例えばデカルトでは、精神の属性は思惟、物体の属性は延長。
  ■広辞苑
  【性質】
  ・もって生まれた気質。天性。資性。「おとなしい―」
  ・物事がもっている特色。「水に溶けやすい―」
  ・〔哲〕事物が本来もっているあり方で、それにより他の事物と種類を区別されるもの。
  → 質 → 第一性質

  【質】 しつ
  ・生れつき。天性。「天成の―」
  ・内容。中味。価値。「―が落ちる」「量より―」
  ・(quality)物がそれとして存在するあり方。性質。〓量。
  ・対象を他の対象と区別する特色となっているもの。非感覚的な面をも含む。「どのような」という問いに対する事物のあり方。
  ・論理学では、命題の肯定・否定をいう。


 2. ドイツ語

  ■
質 (ドイツ語)
  性質
 Natur 天性、本性、素質、性質 ・人間性 die menschliche Natur
 Charakter (人の)性格、気性。(特定の性格をもった)人物。作中人物、 役柄。地位、身分。
  (事物の)性格、特色
  
■ 品質
 Qualität 質がよい(わるい)von guter (schlechter) Qualität
 量より質 Qualität , nicht Quantität


 
3. 属性 ゾクセイ
  attribute attributum

 
▼デジタル大辞泉の解説
 1 ある事物に属する性質・特徴。「ゴムの属性である弾力性」
 2 哲学で、事物が本来具有する根本的性質。それなしには実体が考えられないような本質的な性質。
 3 コンピューターで、ファイルのもつ性質。また、表示・印刷などの際に設定する特性。アトリビ ュート。
 出典 小学館デジタル大辞泉について

 
▼大辞林 第三版の解説
 ① そのものに備わっている固有の性質・特徴。
 ② 〘哲〙 それを否定すれば事物の存在そのものも否定されてしまうような性質。偶然的性質とは区別される。特に、デカルト・スピノザでは、実体のもつ本質的な性質(例えばデカルトでは、物体と精神という二実体の属性をそれぞれ広がりと意識とする)をいう。 ⇔ 実体
 ③ ⇒ アトリビュート 〔「哲学字彙」(1881年)に英語 attribute の訳語として載る〕
   出典 三省堂大辞林 第三版について 


 
▼ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
 
存在者の本質的で恒常的な特性をいう。アリストテレスは属性が実体と不可分であるとし,スコラ哲学では全知全能などが神の内的属性とされた。
 これを継承してデカルトは実体内在性の点で属性を様態や性質と区別し,変化せぬ神には属性しか考えられないとし,精神と物質の属性として思惟と延長をあげた。スピノザでは,属性で人間に知られているのは実体の本質であり,唯一の実体である神の属性は思惟と延長であるとされた。
  出典 ブリタニカ国際大百科事典

 
▼日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
 広義には対象に所属する諸性質を意味する。哲学上の用語としては、事物の基本的な性質、すなわちその性質によって初めてその事物が可能となるような性質(本質)を意味し、偶有性や様態と区別されて使われる。たとえばスコラ哲学では全能や存在のような性質が神の属性とされ、デカルトでは思惟(しい)と延長がおのおの精神および物体という実体の属性とされた。またスピノザは、神が唯一の実体であり、無限の属性をもつとし、そのうちの思惟と延長のみが人間にも認識可能であるとした。[清水義夫]
  出典 小学館 



 ■■性質
 せいしつ(英語表記)qualitas

 
① ブリタニカ国際大百科事典 解説
 質とも訳す。 qualitasはプラトンの造語 poiotēsの訳語としてキケロがつくったもの。事物のあり方を意味し,量の対立概念。
アリストテレスは「どのような」という疑問への答えをなすものが性質であるとして,範疇の一つとした。アリストテレスやスコラ哲学では性質は個物にそなわる客観的なものであるが,すでにデモクリトスは客観的な原子の形,大きさ,位置などに対して色や味を単に主観的なものとしてみていた。
 この考えは近世にいたりガリレイを経て
J.ロックによって第一性質と第二性質の区別として提出された。すなわち前者は固さ,延長,形,動静,数など客観的,数学的,物理学的な性質であり,後者は色,音,味など主観的,心理的な性質である。第一性質は物体の本質的規定であり,第二性質は偶有的性質である。近世以後の自然科学は以上の意味の質を量に還元し,数量計算の対象とすることを根幹としているが,哲学的価値論では量化されない質の重要性が強く主張されている。また,日常的用法では価値の序列を質の高低として表わすことが多い。さらにはアリストテレス主義において命題の質と呼ばれるのは肯定命題と否定命題の区別である。この質に対する意味の量は全称,特称,単称の区別 〔全称肯定「すべての S は…である」と、全称否定「いかなる S も…でない」の二種〕 であり,カントはこれに合せて第三の質の範疇として無限的を導入した。


 
② デジタル大辞泉の解説
 1 もって生まれた気質。ひととなり。たち。「温厚な性質」
 2 その事物に本来そなわっている特徴。「燃えやすい性質」「すぐに解決がつくという性質の問題ではない」
 [用法]
性質・性格――「熱しやすく冷めやすい性質(性格)」のように、人についていう場合には相通じて用いられる。「性質」は、人以外の場合でも、「水にとけやすい性質」のように、その物事がもともと持っている特性の意で使われる。 ◇「性格」を物事について使う場合は、その物事と他との違いをきわだたせるような特徴をいう。「議題と性格が異なる提案は却下する」
出典 小学館デジタル大辞泉について

  
③大辞林 第三版の解説
 ① その人に生まれつき備わっている気質。人となり。天性。 「温和な-」
 ② 他のものと区別しうる、そのもの本来のありかた。 「さびにくいという-をもつ金属」 「問題の-が違う」
 ③ 「質しつ③ ㋐ 」に同じ。
   出典 三省堂大辞林 第三版について


 ヘーゲル「小論理学」 物と性質

 「小論理学」 
§124  〔現存在 Die Existenz : 実在・実存〕
  しかし、現存在するものの他者への反省は、自己への反省と不可分である。なぜなら、根拠は両者の統一であって、現存在はこの統一からあらわれ出たものだからである。したがって、現存在するものは、
相関性、すなわち諸他の現存在と自分とのさまざまな連関を、自分自身のうちに含み、根拠としての自己のうちへ反省している。かくして、現存在するものは 物 (Ding)である。

  
c 物 ( Das Ding )
  §125
 
物 Ding は 根拠 Grund と 現存在 Existenz という二つの規定が発展Entwicklungして一つのもののうちで定立されているものとして、統体〔Totalität; “全体性”〕である。それは、そのモメントの一つである他者内反省〔Reflexion-in-Anderes; 他者への反照〕からすれば、それに即してさまざまの区別を持ち、これによってそれは規定された、具体的な物 konkretes Ding である。 
 (イ) これらの諸規定は相互に異っており、それら自身のうちにではなく、物のうちにその自己内反省を持っている。それらは
物の諸性質Eigenschaften des Dings, : 岩波・向坂訳では“属性”) であり、それらと物との関係は、持つという関係である(注:『資本論』 岩波・向坂訳p.87)。
  今や“あるSein”の代りに、持つHabenという関係があらわれる。“或るものEtwas”も自己に即してさまざまの質を持ってはいるが、このように持つという言葉を有的なもの〔有論§84〕へ転用するのは正確ではない。なぜなら、
としての規定性 Bestimmtheit als Qualität は、或るものと直接に一体であって、或るものがその質を失うとき、或るものは存在しなくなるからである。しかし物は自己内反省であり、区別から、すなわち自己の諸規定から区別されてもいるところの同一性である。―Haben〔持つ〕という言葉は、多くの言語において過去をあらわすに用いられているが、これは当然である。というのは、過去とは揚棄された有であるからである。・・・

  
(注:岩波・向坂訳p.87)
  Eigenschaftの翻訳について 
 ヘーゲル論理学(物の性質-岩波文庫・松村訳)と『資本論』・向坂訳の属性とは同じ “Eigenschaft” です。この訳語に注目する理由は、
① “Eigenschaft”ー 日本語訳の“性質”と“属性”の語義の問題
② 『資本論』第1章第2節「商品に表わされた労働の二重性」における労働(実体)の“属性”
 *この第2節段階では、労働(実体-
)の“属性”は、別々にー価値と使用価値-分離されたままで相関関係を形成しています。第3節価値形態で、はじめて相関関係が提議されています
 「2-16  すべての労働は、一方において、生理学的意味における人間労働力の支出である。そしてこの同一の人間労働、または抽象的に人間的な労働の属性〔Eigenschaft〕において、労働は商品価値を形成する。すへての労働は、他方において、特殊な、目的の定まった形態における人間労働力の支出である。そしてこの具体的な有用労働の属性において、それは使用価値を生産する(16)。



 ■ C 一般的価値形態

 1 価値形態の
変化した性格  Veränderter Charakter der Wertform

7. 商品世界の一般的・
普遍的な相対的価値形態は、この世界から排除された等価商品 Äquivalentwareである亜麻布に、一般的・普遍的等価の性質 Charakter des allgemeinen Äquivalents をおしつける。亜麻布自身の自然形態は、この世界の共通な価値態容 Wertgestalt であり、したがって、亜麻布は他のすべての商品と直接に交換可能である。〔 この亜麻布は“allgemein” 普遍性であるから 〕
 この
物体形態 Körperform は、一切の人間労働の眼に見える化身 sichtbare Inkarnation として、一般的な社会的な蛹化(ようか: gesellschaftliche Verpuppung )としてのはたらきをなす。機織という亜麻布を生産する私的労働は、同時に一般的に社会的な形態、すなわち、他のすべての労働との等一性の形態・形式 Form der Gleichheit にあるのである。一般的価値形態を成立させる無数の方程式 zahllosen Gleichungen は、順次に亜麻布に実現されている労働を、他の商品に含まれているあらゆる労働に等しいと置く 〔無数の連立方程式を形成する 。そしてこのことによって、機織を人間労働そのものの一般的・普遍的な現象形態 allgemeinen Erscheinungsform にするのである。このようにして、商品価値 Warenwert に対象化されている労働は、現実的労働のすべての具体的形態と有用なる属性 nützlichen Eigenschaften とから抽象された労働として、たんに否定的に表示されるだけではない。それ自身の肯定的性質 positive Natur が明白に現われるのである。それは、すべての現実的労働を、これに共通なる人間労働の性質 gemeinsamen Charakter menschlicher Arbeit,に、人間労働力の支出に、約元 〔Reduktion:還元・約分〕 したものなのである。

 労働生産物を、
無差別な人間労働 unterschiedsloser menschlicher Arbeit のたんなる凝結物 als bloße Gallerten科学的抽象操作-概念としてのGallert〕 として表示する一般的・普遍的価値形態は、それ自身の組立て 〔eignes (eigen) Gerüste:足場・骨組み〕 によって、それが商品世界の社会的表現であるということを示すのである。このようにして、一般的・普遍的価値形態は、この世界の内部で労働の一般的・普遍的に人間的な性格 allgemein menschliche Charakter が、その特殊的社会的な性格 spezifisch gesellschaftlichen Charakter を形成しているのを啓示する offenbart のである。・・・〔最後の “このようにして、一般的・普遍的価値形態・・・啓示する” については、ヘーゲル「小論理学」第3部 概念論§163普遍・特殊・個を参照 〕


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