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 『資本論』 第1章 商品 第3節 価値形態または交換価値

 
 C 一般的価値形態


 Ⅲ. 第3形態 C 一般的価値形態
  

    上着1着  =       
    茶10ポンド  
    コーヒー40ポンド   
    小麦1クォーター    亜麻布20エレ 
    金2オンス    
    鉄1/2トン  
    A商品x量  
    その他の商品量  


  
1 価値形態の変化した性格  Veränderter Charakter der Wertform

 諸商品は、その価値をいまでは第一に、唯一の商品で示しているのであるから、単純に表わしていることになる。また第二に、同一商品によって示しているのであるから、統一的に表わしていることになる。それら商品の価慎形態は、単純で共同的であり、したがって一般的である。
 第一および第二の形態は、二つとも、一商品の価値を、その商品自身の使用価値、またはその商品体から区別したあるものとして表現するために、生じたものにすぎなかった。


 第一の形態は、上衣1着 = 亜麻布20エレ、茶10ポンド = 鉄1/2トン 等々というような価値方程式を作り出した。上衣価値は亜麻布に等しいものとして、茶価値は鉄に等しいものとして、というようなふうに表現される。しかしながら、亜麻布に等しいものと鉄に等しいもの、このような上衣および茶の価値表現は、亜麻布と鉄とがちがっているのと同じようにちがっている。この形態が明瞭に実際に現われるのは、ただ、労働生産物が、偶然的な、そして時折の交換によって商品に転化されるような、そもそもの端緒においてである。
 第二の形態は、第一のそれより完全に、商品の価値を、それ自身の使用価値から区別する。なぜかというに、例えば上衣の価値は、ここではその自然形態に、あらゆる可能な形態で、例えば亜麻布に等しいものとして、鉄に等しいもの、茶に等しいもの等として、すなわちただ上衣に等しいものでないだけで他の一切のものに等しいものとして、相対するからである。他方において、ここには商品のあらゆる共通な価値表現は、ただちにできなくされている。なぜかというに、ここでは一商品ごとに価値表現を行なって、すべての他の商品は、ただ等価の形態で現われるにすぎないからである。ある労働生産物、例えば家畜がもはや例外的にでなく、すでに習慣的に各種の他の商品と交換されるようになると、まず拡大された価値形態が、事実上出現するのである。


 新たに得られた形態は、商品世界の諸価値を、同一なる、この世界から分離された商品種で表現する、例えば亜麻布で、そしてすべての商品の価値を、かくて、その亜麻布と等しいということで示すのである。亜麻布に等しいものとして、あらゆる商品の価値は、いまやただそれ自身の使用価値から区別されるだけでなく、一切の使用価値から区別されるのである。そしてまさにこのことによって、この商品とあらゆる商品とに共通なるものとして表現される。したがって、この形態にいたって初めて現実に、商品を価値として相互に相関係させ、またはこれらを相互に交換価値として現われさせるようになる。


 先の二つの形態は、商品の価値を唯一の異種の商品をもってするばあいと、この商品と異なる多くの商品の序列をもってするばあいとの違いはあるが、いずれにしても一商品ごとに表現するのである。両場合ともに、価値形態を与えられるのは、個々の商品のいわば私事である。そして個々の商品は他の商品の協力なしに、このことをなすのである。他の諸商品は、先の一商品にたいして等価形態という単なる受動的の役割を演ずるのである。これに反して一般的価値形態は、商品世界の共通の仕事としてのみ成立するのである。一商品が一般的価値表現を得るのは、ただ、同時に他のすべての商品がその価値を同一等価で表現するからである。そして新たに現われるあらゆる商品種は、これを真似なければならない。このことによって、こういうことがはっきりとしてくる、すなわち、諸商品の価値対象性も、それがこれら諸物の単なる「社会的存在」であるのであるから、その全面的な社会的関係によってのみ表現されうるのであり、したがって、その価値形態は、社会的に妥当する形態でなければならないということである。


 亜麻布に等しいものの形態において、いまではあらゆる商品が、ただに質的に等しいもの、すなわち価値一般としてだけでなく、同時に量的に比較しうる価値の大いさとしても現われる。すべての商品が、その価慎の大いさを同一材料で、亜麻布で写し出すのであるから、これらの価値の大いさは、交互に反映し合うのである。例えば 茶10ポンド = 亜麻布20エレ、さらに コーヒー40ポンド = 亜麻布20エレ. したがって、茶10ポンド = コーヒー40ポンド というようにである。あるいは1ポンドのコーヒーには、ただ1ポンドの茶におけるものの4分の1だけの価値実体、すなわち、労働が含まれているというようにである。


 商品世界の一般的な相対的価値形態は、この世界から排除された等価商品である亜麻布に、一般的等価の性質をおしつける。亜麻布自身の自然形態は、この世界の共通な価値態容であり、したがって、亜麻布は他のすべての商品と直接に交換可能である。この物体形態は、一切の人間労働の眼に見える化身として、一般的な社会的な蛹化(ようか)としてのはたらきをなす。機織という亜麻布を生産する私的労働は、同時に一般的に社会的な形態、すなわち、他のすべての労働との等一性の形態にあるのである。一般的価値形態を成立させる無数の方程式は、順次に亜麻布に実現されている労働を、他の商品に含まれているあらゆる労働に等しいと置く。そしてこのことによって、機織を人間労働そのものの一般的な現象形態にするのである。このようにして、商品価値に対象化されている労働は、現実的労働のすべての具体的形態と有用なる属性とから抽象された労働として、たんに否定的に表示されるだけではない。それ自身の肯定的性質が明白に現われるのである。それは、すべての現実的労働を、これに共通なる人間労働の性質に、人間労働力の支出に、約元したものなのである。
 労働生産物を、無差別な人間労働のたんなる凝結物として表示する一般的価値形態は、それ自身の組立てによって、それが商品世界の社会的表現であるということを示すのである。このようにして、一般的価値形態は、この世界の内部で労働の一般的に人間的な性格が、その特殊的に社会的な性格を形成しているのを啓示するのである。


  ・・・以上、「1 価値形態の変化した性格」 終わり・・・