ホーム

文献資料 ヘーゲル自然哲学
ヘーゲル『自然哲学』 
        加藤尚武訳 岩波書店 1999年発行

 
目 次 
 
第1部 力 学
 第2部 物理学
 第3部 有機体の物理学


  
第2部 物理学

§272
 (p.130)
 単独存在が物質のうちに展開され、物質が身につけた規定をもつようになると、物質が単独存在をそれ自身の内にもっているかぎり、物質は個体性をもつ。物質はこのようにして自分を重さから解放し、身についた規定をもつようになって、自分を顕在化させる。すなわち、自分に内在的な形式によって自発的に、空間的なものを重さに対抗して規定する。このような規定作用は以前には、物質にたいしては他者であり物質によってたんに求められていた(gesucht)にすぎない中心である重さに属していた。

 
補 論 
物体は、今では個別性の力に支配される。以下、述べることは、自由な物体を消化融合する個別的統一点の支配下にこれら自由な物体を還元することである。重さは、物質の内部中心的本質、たんに内的同一性であるが、物質の概念が本質的外面性であるから、本質の顕在化に移行する。このようなものとして重力は反省規定の統合である。しかしこれら反省規定は、相互無関係に放置され、ために各規定は特殊性質をもつ物質として現れる。このような物質は、いまだ個別性の規定をもたず、無形態な要素である。われわれはこれら物質化された形式規定を二重の仕方で、すなわち、一つは直接的規定、他は措定された規定としてもつ。太陽系では、それらは直接的に現象する。次いで本質的に措定されたものとして現存する。これはちょうど、両親は両親としては直接的であるが、しかし次に彼らもまた子ども、生まれたものである[という点て規定されている]のと同様である。こうして光はまず太陽として現存する。次に光は外的条件から現れ出るものとして現存する。第一の光はもともと自体的である。この自体的な光は概念のなかで産出されている。しかしこれはまた措定されなければならない。そのときこの現存在は現存の特殊な仕方として区別される。


§273 
  物理学の内容は、
 普遍的な個体性、すなわち直接的な自由な物理的な質、
 特殊的な個体性、すなわち、物理的な規定である形式の、重さにたいする関係とこの形式による重さの規定、
 統合的で自由な個体性である。

 
補 論 
 この部門は自然の中で最も困難である。なぜなら、それは有限的物体性を含んでいるから。分化したものは常に最大の困難を含んでいる。なぜなら、概念は、もう第一部門のように直接的には現れず、また第三部門のように現実的なものとして現れてもいないからである。ここでは概念は隠れている。概念はただ必然性という総合する紐帯としてだけ現れる。一方、現象するものは概念を欠いている。まず形式区別は交互に関係をもたず、独立的である。第二は分化、対立における個別性である。第三が初めて形式区別の支配者としての個別性である。

B 特殊な個体性の物理学・・・略・・・



  C 統合された個体性の物理学

§308  (p.250)
  まず物質は、もともと自体的に、重い(もの)という形での概念の統合性である。だから物質はそれ自身の身についた形では形式化されていない。概念の特殊な規定が物質の身につけて措定される場合には、その規定での概念がまず差し当たって示すのは、特殊性へばらばらに分裂する有限な個体性である。いま概念の統合性が措定された以上は、重さの中心は、もはや物質によって求められている(gesucht)主体性としてではなく、まず最初は直接的で制約されていた形式規定(形相)の観念性として物質に内在している。いまやこれらの形式規定は、規定のうちから[内発的に]展開された契機である。だから、物質的個体性は、展開しながらもあくまで自己と同一であるから、無限に単独的であるが、しかし同時に制約されてもいる。このような個体性は、ようやく直接的なものとなったにすぎない主体的な統合性である。したがって、この個体性は、それ単独で無限ではあるが、他者にたいする関係を含んでいる。過程においてはじめてこの個体性は、この外面性と被制約性が、自己を止揚するものとして措定される。こうしてこの個体性は、物質の単独の在り方の実存する統合性となる。さて、この統合性はもともと自体的には生命であり、概念上は生命へ移行する。

・・・自然哲学第1部 力学 終わり・・・

 >>ヘーゲル『自然哲学』 第1部 力学
 >>ヘーゲル『自然哲学』 第3部 有機体の物理学